親との会話がつまらない!何度も同じ話をする親の心理とは

古い実家のミシン
wakemi

「ねえ、覚えてる? あなたが東京に出たときのこと」

母の声は、スマホ越しでも少し弾んで聞こえた。
また、その話だ。
ちさとは「うん」と返しながら、湯をわかす音に耳を傾ける。

「駅まで送ったときね、あの改札の前で——」

そう言いながら母は、何度も同じ場面を語る。

そのたびに「そうだったね」と相づちを打つ。

窓を見る女性

気づけば10分以上。
話の内容は、いつもとほとんど同じ。

でも途中で「その話もう聞いた」と言えば、きっと傷つけてしまう。
母を嫌いなわけじゃない。
けれど、電話を切ったあとには、どっと疲れが押し寄せる。

どうして、親との会話ってこんなに同じ話ばかりなんだろう。
そんなふうに感じたことはありませんか?

親との会話がつまらないと感じるのは、あなたが悪いわけではない

モヤコロ
モヤコロ

最初は懐かしかった話でも、何度も繰り返されるうちに疲れてくるよね〜

話を変えようとすると「ちゃんと聞いてるの?」と不機嫌になってしまう。
つい「ごめんごめん」と笑ってごまかすけれど、
心の中では「もう何回目だろう」と思ってしまう——。

そんな自分を「親不孝なのかな」と責めてしまう人もいます。

でも、それはあなたが冷たいわけでも、愛情が足りないわけでもありません。
「親との会話がつまらない」と感じるとき、
親と子ではそもそも会話の目的が違っているだけなのです。

親との会話がつまらない理由は“話の目的”がすれ違っているから

田舎の故郷

私たちは、大人になるほど「会話=情報交換」として話をするようになります。
何を伝えるか、どんな情報を得るかを意識して、効率よくやりとりを終わらせようとします。

けれど、親にとっての会話は

情報ではなく「つながり」です。

話の内容よりも、「今日も娘と話せた」という事実が安心につながります。
だから、内容が同じでも何度でも話したくなるのです。

あなたにとっては、もう終わった話でも
親にとっては 絆を確かめる時間。
目的が違うだけで、どちらも間違ってはいません。
どちらも「大切にしたい」という思いから生まれています。

親との会話がつまらないときに思い出してほしい「繰り返す親の心理」

線香花火

人は、本当にどうでもいいことを何度も話したりはしません。
同じ話を繰り返すとき、そこには伝えきれていない思いが隠れていることがあります。

たとえば母親が、何度も「あなたが東京に出たときね、、、」と話すとき。
そこには「寂しかった」「でも応援していた」という、
言葉にしきれない感情が残っているのかもしれません。

それをどう言葉にしていいかわからないまま、
“思い出話”という形で何度も再生している。

話の内容よりも
「この話をするとき、親はどんな気持ちなんだろう?」と
少しだけ想像してみると、見え方が変わってきます。

繰り返される話の裏には、「わかってほしい」という願いや、
言葉にならなかった「ありがとう」が潜んでいることもあるのです。

親との会話が面白くなくても、我慢しすぎないで大丈夫

夕暮れの女性

そうはいっても、聞く側のあなたが疲れてしまうのも自然なことです。
どんなに理解していても、同じ話に何度もつき合うのはエネルギーがいります。
「親のために」と思って我慢を続けると、
「また電話か…」と感じてしまう日もあるでしょう。

そんなときは、無理せずラクな聞き方を選んでいいと思います。
たとえば

  • 「へえ」「そうだったんだね」と短く相づちを打つ
  • おうむ返しで「そうか、あのとき大変だったね」と返す

それだけでも、親は“ちゃんと聞いてもらえた”と感じます。
そして、会話は途中よりも終わり方が大切です。

「そうなんだね、また今度ゆっくり聞かせてね」とやわらかく締めくくるだけで、
お互いの気持ちがやわらかくなります。

親との会話をラクにするコツは「話す相手」を分散してあげること

昭和の吊り照明

同じ話を何度もする理由のひとつは、
話を聞いてくれる人が限られているからかもしれません。

年齢を重ねると、仕事や地域のつながりが減り、
気軽に話せる相手が少なくなっていきます。
すると、あなたが安心して話せる相手の筆頭になってしまうのです。

だから、何度も同じ話が繰り返される。

そんなときは、全部をひとりで受け止めなくても大丈夫です。
親の話を聞いてくれる別の人や場、、、
たとえば友人、地域のサークル、趣味の集まり、ちょっとした電話の相手——
そうした「話せる場」を増やしてあげることで、
あなたへの負担もやわらぎます。

親との関係は、全部抱えこむより、
「役割を分け合う」ほうがうまくいくことがあります。
つながりを保ちながらも、距離を調整していく。
それが、親との会話を続けるいちばん現実的で優しい方法かもしれません。

親との会話を、あなたが無理なく続けていくために

急須と湯呑み

「私ばっかり聞いてる気がする」と思うとき、
それはあなたが誠実に関わっている証拠です。
相手を大切にしたいからこそ、疲れてしまうんですよね。

すべてを聞こうとせずに、聞ける範囲で関わることを意識してみてください。

「今日はちょっと気力がないから短めに」
「今日は聞けそうだから1分長く」

そんなペースでも十分です。

距離を取る日があっても、関係は壊れません。
親子の会話は、キャッチボールのようにお互いのリズムで続けていくもの。
今日は投げられなくても、明日やさしく投げ返せばいいのではないでしょうか。

モヤコロ
モヤコロ

同じ話を繰り返すのは
あなたとまだつながっていたいという合図。

でもね、無理して聞き続けなくても大丈夫。
つながり方には、いくつも方法があるんですよ。

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